子供の言葉の発達について

今日は、子供の言葉の発達がどうやって進んでいくかについて、まとめます。

1:ゆりかご時代(0−2歳)

この時代は親が愛情を持って赤ちゃんに話しかけることが一番重要。親は自分が自信を持って話せる言葉を使って、赤ちゃんに話しかける必要がある。子供は、言葉だけを吸収するのではなく、匂いや身のこなし、表情もトータルに受け入れていくので、親が不得意な外国語を使ったりすると、ぎこちなくなる。幼児の言語習得の動機は、幼児を取り巻く周囲の社会の大事なメンバーになりたいという願望である。「英語教育は幼児から」と言われるが、この時代は母語である日本語を育てる大事な機会であるので、要注意である。

2:子供部屋時代(2−4歳)

日々語彙が増えて、言葉を使って自分の気持ちを表現し、言葉を使って考えるということを学ぶ時期。この時代に2言語に触れても、子供の言葉の成長が遅れる事はないが、急激な言語環境の変化は避けるべき。母語の発達が侵されない状況では、外国語に触れることは十分可能である。日本のように圧倒的に日本語が優勢で、放っておいても母語の日本語が伸びやすい場合は、英語の耳づくりをする事は大変良い事である。ただし、押し付けにならないように注意。特にこの時代は、親と子の双方向の「話し合い」をする事が重要。

3:遊び友達時代(4−6歳)

社会性が発達し、「ごっこ遊び」ができるようになり、集団生活もできるようになる。この時期に2言語にバランスよく接すると、自然に2言語を覚える。本の読み聞かせを毎日の日課とすると良い。(できれば、日本語+外国語。)読み聞かせは、母語の発達を促すだけでなく、バイリンガル教育では欠かせないものである。

4:学校友達時代前半(6−9歳)

小学校に上がり、話し言葉が固まり、読み書きの基礎ができる大事な時期。だんだん親よりも、友達や仲間の方が大事になる。しかし、まだ親子の話し合いや交流が大切で、一緒にテレビを見たり、本を読んで話し合ったりすることで、子供の言葉はグッと伸びる。

5:学校友達時代後半(9−15歳)

自立心が旺盛になり、自我に目覚め、勉強も自分なりの取り組み方をするようになる。読解力も付き、抽象的な内容のものも読めるようになる。「外国」、「外国人」にも興味が出てくるので、この時期の海外旅行や海外キャンプは大きな意味がある。この時期は、仮説や命題を立て、論証を組み立てる事ができるようになると言われている。文化の理解や比較もできるようになる。


バイリンガル教育に最適な時期は4歳−9歳。子供は複数の言語を覚えるのは早いが、忘れるのも同じくらい早い。子供の言葉の習得は、新しい言葉を覚えるということと、覚えた言葉を維持するという両面から考えるべきである。


幼児期の子供の母語は極めて脆弱である。学校では現地語、家庭では親の母語という2つの言語に触れて育つ場合、現地語の習得が進むにつれて、母語が年齢相応の力が保てず、どんどん弱まっていき、母語から「継承語」へ立場が弱まっていく。日常は現地語を使うようになる。そうすると、親は母語を話していても、子供は現地語で返事をするという状況になりがちである。このような母語から継承語への移行は、4−9歳に最も起こりやすい。


参考文献はこちら。

「バイリンガル教育の方法〜12歳までに親と教師ができること〜」中島和子著

https://www.amazon.co.jp/完全改訂版-バイリンガル教育の方法-アルク選書-中島-和子/dp/4757426984